桐生さんのお世話係?
とりあえず。



「勝手なことを言わないでください」


「……え?」



男の人に言う。



「貴方には関係ありません」



私はそれだけ言うと桐生さんの元



ガッ!!



「僕なら助けられる!!」



またしても肩を掴まれる。



……助けられる?


……さっきからこの人は何様なのだろう。



そして私よりも世間知らずだ。



「貴方が借金を返済してくれるのですか?」


「……え?いや……それは君の母親に……」


「助けてくれるのでは?」


「……だから一緒に逃げて」


「逃げて?それからどうするんですか?貴方が私とこの子を養ってくれるのですか?」


「……それは」



しどろもどろになる男の人。


よくそれで、逃げて“あげる”なんて言えたな。と思う。



掴まれていた肩の力が弱まり、私は今度こそ桐生さんの元へ。


まぁもし頷かれたとしても拒否するけど。


珊瑚が幸せにならない未来なんていらないのだ。



何も言えなくなった男の人を真っ直ぐ見て、頭を下げる。



桐生さんは無表情のまま、けれど……怒ってる?



「気にかけてくださったことはありがとうございます。けれど借金は私が返していきますから」



口出し無用ですと伝えた。



男の人はそれには答えず、下を向いて歯を食いしばる。



「オイ」


「はい?」



桐生さんに呼ばれる。



「チャンスをやろうか」



チャンスーー?


何を言い出すんだ、この人は。



私達は桐生さんを見た。
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