桐生さんのお世話係?
「逃げても良いぞ」


「え?」


「は?」


「桐生さん!?」



キョトンとする私と男の人。


盛大に驚いている丹波さん。



逃げても良いぞ?



なんで?



“約束”は?



珊瑚に優しい両親の元へっていう約束は?




「桐」




クッ。




「??」




ほんの少し、ほんの少しだけ服の袖が引かれた。




誰?



とそっちの方に視線をやると……




桐生さんだった。




桐生さんが私の服の裾をキュッと握っていた。




無表情で。




口とは正反対で、その行動は“行かないで”と言われているみたいで。




引き留められているみたいで。




不覚にも可愛いと思い、笑ってしまった。




そして珊瑚を抱き直し、桐生さんの手に触れる。




「逃げませんよ」




珊瑚に新しい両親を。



私は借金の返済を。




逃げない。




「……バカだな、お前は」




桐生さんが言う。



呆れたように……ホッとしたように。




いやいやいやいや、それを貴方が言う?
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