純愛ストーカー~溺愛彼氏が浮気疑惑をはらすために追いかけてきた

1:逃げられると思った?

仕事を終えて一人暮らしの1LDKのアパートに帰ってくると、見覚えのない男性用の靴が玄関に並べられている。


空巣? ゾクリと悪寒がして、外に出ようとした瞬間。


「おかえり、メイコ」


リビングから元カレの水野斗真が顔を出す。


「な、なんで……」


なんで、元カレが私の部屋にいるの?
どうしてここが分かったの?
頭が混乱してパニックになる。だけどここは壁の薄いボロアパート。近隣住民に迷惑はかけちゃダメだ。


とりあえずヒールを脱ぐ。


「中で話そう」


斗真は私が逃げないと分かったのか、リビングに置かれたベッドに座った。


「……どうやってこの家に入ったの?」

「大家に妹がお世話になってますって菓子折り渡して、偽造した免許証と二人で撮った写真を見せたら簡単に信用して鍵を開けてくれたよ。

セキュリティが甘すぎる。危ないからこんなアパート越しなよ」

「危ないのは斗真でしょ。出てってよ」


偽造って犯罪じゃない。もちろん勝手に家に入り込むのも。真面目な斗真がこんなことするなんて……頭を抱える。

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