純愛ストーカー~溺愛彼氏が浮気疑惑をはらすために追いかけてきた
――1ヶ月の長期出張……。
斗真がいない間に、同期の尚美に自分の携わっていた全ての仕事の引き継ぎをすませて退職願いを出した。
こうでもしないと私は斗真と別れることができないから。
だけど最後に。少しの望みをかけて真柴さんに声をかけた。
「その時計……斗真からもらったんですか?」
「はい。何で知ってるんですか? 私、斗真さんと付き合っていること誰にも話してないのに」
ああ、やっぱり。どこかに綻びがないかあらゆる可能性を考えたけど、何もなかった。でも本人に直接聞いて迷いはなくなった。
“さよなら”
4文字のラインを送信した後、携帯は解約した。そして誰にも居場所は知らせずにこの街を出た。
引っ越しして、斗真を忘れるために。一から新しい生活を始めるためにーー……。