純愛ストーカー~溺愛彼氏が浮気疑惑をはらすために追いかけてきた
3:なんで別れ話になるわけ?
「香水つけてる?」
月曜日の朝。出勤して、コーヒーの入ったタンブラーを斗真のデスクに持っていくと柑橘系の爽やかな香りがする。普段はつけない香水に、いつもと違う雰囲気を感じる。斗真は右手首を見せて優しく笑った。
「少しだけ。気分転換だよ」
「そう」
気分転換……ならいいんだけど。自分のデスクに戻って、書類をまとめていると、後ろの席から小さな声が聞こえてくる。
「真柴さんってかわいいよな。彼氏いないらしいよ」
「マジで! 今日飲みに誘ってみる?」
今月入社してきた二十歳の美女の噂話をしている男達。チラリと斗真を見ると、その真柴さんと二人で楽しそうに談笑している。
……香水をつけてきたのは、もしかして真柴さんを意識してる?
女の私から見ても彼女はかわいい。小さい顔に大きな瞳。小柄な体型なのに、出ているところはしっかり出ている。羨ましい。