『ブレッド』 ~ニューヨークとフィレンツェを舞台にした語学留学生と女性薬剤師の物語~【新編集版】
その日も聖トリニータ橋に立って川面を見つめていたが、目に映るものは無だけであり、魚がはねてもその姿は目に入ってこなかった。
もう何度目だろうか、数えきれないくらいのため息をついた時、突然、風が頬を撫でた。
それに誘われるように顔を上げるとまた頬を撫で、すぐにそれが強い風に変わった。
背中を押されるようにふらふらと歩き出すと、いつの間にかヴェッキオ橋に辿り着いていた。
それを渡って緩い坂を上っていくと大きな建物が見えた。
見たこともない建物で、宮殿のような威容を誇っていた。
もう何度目だろうか、数えきれないくらいのため息をついた時、突然、風が頬を撫でた。
それに誘われるように顔を上げるとまた頬を撫で、すぐにそれが強い風に変わった。
背中を押されるようにふらふらと歩き出すと、いつの間にかヴェッキオ橋に辿り着いていた。
それを渡って緩い坂を上っていくと大きな建物が見えた。
見たこともない建物で、宮殿のような威容を誇っていた。