『ブレッド』  ~ニューヨークとフィレンツェを舞台にした留学青年と女性薬剤師の物語~【新編集版】
 秋が訪れた。
 女のお腹には子が宿っていた。
 それを知った男は猟に精を出した。
 何日も帰らない日があったが、帰ってきた時には必ず獲物を手にしていた。
 それでも男並みに食べる女の食欲を満たすために男はまた狩りに出かけた。

 一人になった女は食べ物を探しに草原へ向かったが、その途中であることに気がついた。
 何やら芽が出ているのだ。
 それが点々と続いていた。
 なんだろうと思ってそれを見ていたが、お腹が鳴って我に返り、食料を探すために草原の中に分け入った。

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