私だけが知っている桜くん
…さ、桜くん?!


みんなの前でな、何言ってるの?!

名前で…!!


「あっ!いた。いいですか?」

「う、うん」

まぁ、周りはきゃーて言ってる人もいればなんでーなんて、言ってる人もいる。

周り、特に女子の視線が痛いが、気にしない気にしないと、心の中で言い聞かせてた。



着いたのはあの日と同じ空き教室。

「ごめん!俺、スマホの充電なくて、」


…いや、それより、

今、『俺』て言った?!

いや、聞き間違えかも…


そうだ、きっとそうだ。


「あ、うん、大丈夫、これ、ごめんね持って帰っちゃって」

そう言って私は桜くんのグッズを渡した。


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