私だけが知っている桜くん
「いや、その友達も一緒にさ」


……な、なんなのこの人たちー?

「行こう行こう」

痛っ


男の人たちはそう言って無理やり私の腕を引っ張ってきた。


やだよ、

私これから桜くんと回るのに…

腕を振り解こうとしているのに、男の人の手は強くちょっとやそこらじゃ、動かなかった。


たくさん人があるからか、周りの人たちは特に私たちには気にせず会場に向かっていた。

そして、私たちは会場とは逆の方向に足が進んでいる。

どうなっちゃうんだろ…


怖くて怖くて仕方がなかった。

そんな、私が出した声は、


「…は、離してください、!」

そんな、小さくてか細い声だった。

多分。周りにも聞こえてない。

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