私だけが知っている桜くん
「大丈夫大丈夫。怖くないから」

…っん!

なんて、言っている男の人たちの目はとても、怖かった。


私の目からは涙が出ていた。

あぁー、桜くんと、楽しく回りたかったのに…

なんで、こうなっちゃうんだろう…


薄い路地裏に入ろうとしたとき、



「柚希!!!!」


えっ…

パッと後ろを向くとそこには白いTシャツにジーパンという楽な格好の桜くんがいた。


桜くんは私の手を繋いで桜くんの方に引き寄せられて、ぎゅっとされた。

男の人たちの手は桜くんを見て一瞬手が緩くなったのか、簡単に解けた。


「お兄ちゃん、ヒーロー気取りか?その子を返せ?」

私の目の前には桜くんの白いTシャツしか見えないから男の人たちと、桜くんがどんな顔をしているのかわからない。



「俺は、柚希の彼氏だ」


その声はいつもより1オクターブ低い声だった。

思わず目が見開いた。
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