私だけが知っている桜くん
涙は引っ込んでた。

この人たちから逃げるための嘘だとわかっているのに、心臓がドキドキして仕方がない。

私は思わず、桜くんのTシャツをギュッと握ってしまった。


「これ以上騒ぐなら警察呼びますよ、」

そう桜くんは冷静な声で言った。

「はぁー、ふざけんなよ」

「こんなことで呼ばれたら最悪だわ」

と、ブーブー言って去っていく足音が聞こえた。


はぁー、

よかった…


私は安心して、腰が抜けてしまった。


だけど、ガシッと、桜くんに腰を支えられた。

「あ、ありがとう。」

「はぁー、無事でよかった」

なんて、言いながら私の頭を撫でた桜くん。


ドキッ、

「ごめんね!こんなことに巻き込んじゃって…」

楽しく祭りを回って花火を見ようと思ってたのに。
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