私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
「あっ、まだ内緒だった?」

部長を睨みながら、私も会議室を出た。

何なの⁉婚約者が会社に来るなんて、全然婚約破棄になってないんですけど!


私はエレベーターの上から、社長と柊真が、藤高コーポレーションのご令嬢を連れてくるのを見た。

エレベーターを上がってくる。

社長も柊真も、ご令嬢をもてなす気満々だ。

私は急いで、応接室のドアを開けに行った。

「どうぞ。」

「あら、先ほどの。」

さすがはご令嬢。顔を覚えるのが早い。

「申し遅れました。結城課長と同じく企画部の課長をしております、浅見恭香と申します。」

「よろしく。」

「はい。」

私は深々と、頭を下げた。

それで?私はどうしろと?何気なく応接室に一歩入る。

「浅見課長がどうしてここに?」
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