私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
いや、鋭いよ。さすがは社長令嬢。

「浅見課長はね、柊真の交際相手なんですよ。」

「はあ?柊真さんの⁉」

そしてさっきは、そんな名前だったはずと言っていた柊真の名前を、習得したお嬢様。

能力は最高だよ。いや、演技力って言うんでしょうか。

そして社長と柊真は、下座に座った。

「ええっと、藤高コーポレーションのご令嬢が、足を運んで頂き、ありがとうございます。」

柊真が場を仕切る。

「やはり、婚約破棄の件ですよね。」

「他に、何かご用件がありますか?」

「いえ。その通りです。」

柊真、もうお嬢様のペースに乗せられてるじゃない。

「ええーっと、」

そして肝心の名前を、柊真は知らない。

社長もにっこり笑って、知らない素振りだ。

思わず私が、柊真の耳元で囁いた。

「藤高……リマさんです。」

「利夏よっ!」
< 107 / 160 >

この作品をシェア

pagetop