私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
「どうぞ、利夏さんと結婚して、株式の半分を頂いて下さい。」

私は頭を下げて、応接室を出ようとした。

「恭香っ!」

案の定、柊真が追いかけてくる。

「冗談だって、言ってるだろ。」

「あらあ?冗談には聞こえなかったけれど?」

「意地の悪い事言うな。俺にはおまえだけだって、知ってて言ってるのか。」

必死な柊真の表情。

だって、柊真の立場を考えれば、そういう結婚だって必要じゃないの。

「私には、お金ないもん。」

「なんだ。そんな事か。」

「そんな事⁉」

私と利夏さんは、同時に叫んだ。

「利夏さん。愛はお金じゃない。」

「それは嘘です。愛は、お金に比例します。」

真っ直ぐな目で答えた。

本当にこのお嬢さん、愛はお金だって思ってるんだわ。
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