私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
愛ってお金って……社長の椅子が見えるから、付いて行ったなんて。

どうしても、この子が愛情いっぱいに育てられたとは思えない。

「社長は、あなたの事を、社長夫人として教育を受けた令嬢だと言っていました。」

「ええ、その通りです。私は、社長夫人となるべく、厳しく教育されました。」

「でも、愛が何なのか、分かってないじゃないですか!」

「恭香、落ち着いて。」

柊真が私を利夏さんから、遠ざける。

「では、あなたは愛が何なのか、分かっているとでも?」

それを追いかけるように、利夏さんは追及の質問をしてくる。

「少なくても、あなたよりは知っています。」

そうだと断言できる。

だって、私は。私は……

「あなたの言っている事、全部自分本位じゃないですか。」

そう。何もかも私は私は。

柊真の事、一回も思いやる言葉や共感の言葉なんて、言ってないじゃない。
< 114 / 160 >

この作品をシェア

pagetop