私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
「父は……今回の結婚、おまえにとって玉の輿だって言ってました。」

それって、立場が逆だって事?

「私は、会社の為に柊真さんと結婚するんだって。私が結婚すれば、藤高は経営が安定するんだって、この結婚に必死だったんです。」

「そんなっ!」

藤高コーポレーションの規模だったら、私達の会社と取引しなくても、経営なんて揺らがないのに。

「……偉そうな事言ってごめんなさい。所詮私は、会社の捨て駒なんです。」

利夏さんは、涙を流していた。

「私には、愛のある結婚なんて、最初から用意されてないんです。」

彼女の辛さが伝わってくる。

本当に、そんな風に育てられたの?

「それは違うな。」

社長が、利夏さんにハンカチを渡す。

「お父さん。藤高さん、柊真を紹介した時、最初こんないい男、ぜったい女にモテるはずだから、娘には似合わないかもって言っておられましたよ。」
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