私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
はあ?という表情をする柊真。

「でも私が、きっとお互いの会社の懸け橋になってくれますよと、申し上げたんです。」

「ちょっと、親父。」

私は柊真を止めた。

「子供の幸せな結婚を願わない親はいませんよ。お父さんだって、きっと利夏さんは幸せになると思って、この結婚に乗ってくれたんだと思いますよ。」

利夏さんは、渡されたハンカチで涙を拭いていた。

「さあ、見送りしましょう。」

社長は利夏さんを連れて、応接室を出た。

「僕も……」

そう言った柊真の目の前で、応接室のドアは閉められた。


残されたのは、私達二人。

ほんと、気まずい。

「柊真、あの……」

「なんだよ、あの態度。」

しかも柊真、完全に怒ってるし。

「どうぞ、結婚してお金貰って下さいって何だよ。」
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