私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
「あの時?」

一緒に頑張っていた時。誰よりも早く認めてもらおうとして、焦って失敗したのを分かってた。

でもそれを、御曹司だからって失敗しちゃいけないって、笑ってるのもどうかと思った。

何よりも、人の何倍も努力してるのを、私は知っていた。

「それで思ったんだ。もし、恭香が同じ立場になっても、俺だけは恭香の味方になるって。こいつの事、絶対守ってみせるって。」


私は、柊真の赤く腫れた頬に触れた。

「柊真は、ちゃんと守ってくれたよ。」

「あのくらい、どうってことないよ。」

「でも、痛かったでしょ。」

「恭香を傷つけられる方が、何倍も痛いよ。」

そして私達は、社長には申し訳ないけれど、応接室で一時の情事を味わった。
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