私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
「ああ、ええっと……この部分なんだけど。」

原田君に教えてあげようとしたら、書類を青川君に取られた。

「何でもないです。ただ気になった事があっただけなんで。」

原田君はやりにくそうに、自席に戻っていく。

そう言えばあまり青川君の周りに、二課の皆が行くことはない。


そんな時だった。

「ちょっと斉藤さん。これ、斉藤さんが調べた物品、ほとんど間違ってるよ。」

「えっ!」

柚希ちゃんが急いで三田主任の元へ行く。

青川君が課長になって、柚希ちゃんの面倒は三田主任がやるようになったんだよね。

「ほら、ここ。何を見て調べたの?」

「すみません。やり直します。」

柚希ちゃんはこれまた急いで、自分の席に戻る。

でも彼女のいいところは、めげないところなんだよね。

普通あんな言い方したら、今の新人たちは直ぐに辞めていくのに。
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