私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
気づいたら、私の家だった。

「ありがとう。」

てっきり今日は、私の家に泊まって行くのだと思っていた柊真が、そのまま運転席から降りない。

「柊真?泊まって行かないの?」

「うん。」

今日は一緒にいれないのか。

寂しくて、柊真に抱き着いた。

「俺、この前恭香に言われた事、ずっと考えてるんだ。」

「えっ?」

もしかして、部長がいたらって話?

「本当だよ。俺が部長になってから、企画部上手く回ってない。こんな時、部長だったらどうするんだろうって、毎晩考えてるよ。」

そんなに悩ませていたなんて。

でも、そんな弱い部分を、私に見せてくれた事が嬉しい。

「部長に聞いてみる?」

「は?」

私はスマホを取り出して、夜だというのに部長に電話をかけてしまった。
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