私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
それにしても、この前の車の中で。

『今週末、俺に時間をくれないか。』と言っていた柊真。

改まって、どうしたんだろう。

チラッと柊真を見た。

「ん?」

いつもと変わらない柊真。

もしかしてっ!私は、息をゴクンと飲み干した。

最近セックスしてないから、別れようとか⁉

同期に戻ろうとか、あり得る!

私はもう一度、柊真を見た。

「ん?何?」

「……いいえ。」

昇進と共に仕事が忙しくなって、すれ違いの末、別れるという話はたくさん聞く。

「はあっー。」

私は大きなため息をついた。

また結婚を逃したら、私、もう結婚したくない。

疲れた。恋愛に。

「……浅見。相談なら乗るぞ。」

「あっ、いいえ!大丈夫です、結城部長。」

これじゃあ、下手にため息すらつけないや。
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