私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
何だか、焦っているような柊真。

人に紛れてたどり着いた席は、海が見える特等席だった。

「綺麗ね。」

そう言うと柊真は、緊張した表情を見せた。

「恭香。話がある。」

「うっ!」

来た!どっち⁉別れ話?同期に戻る話⁉

「……乾杯してからにしない?」

「そ、そうだな。」

いつも余裕がある柊真が、今日は余裕がない。

しかも、休日だというのに、ジャケットを着てビシッと決めてるけれど、どうしたんだろう。

そう思っているうちに、お酒や料理が運ばれて来た。

料理は進み、メインディッシュが終わった時だった。

いよいよ、柊真がそわそわしだした。

「恭香。」

真剣な瞳に、ドキッとした。

もう、耐えられない。この雰囲気。

「別れるなんて、嫌だよ。」

柊真は、キョトンとしている。
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