私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
自分でも、よく怒りを抑えたと思う。

そうよ。ちょうどいい機会だったじゃない。

「昇進って、主任にですか?」

「そうよ。急に課長にはなれないでしょ。」

すると原田君は、つまんなそうにため息をついた。

「俺、役職とかいらないです。」

「えっ?どういう事?」

原田君ぐらい仕事できる人だったら、当然主任になりたいと思っていたけど。

「責任だけ負わされて、やってること報われないって、使い捨てみたいじゃないですか。」

唖然とした。今の若い人って、こういう考えなの?

「報われないって……少なくても、給与には反映されるわよ。役職手当がつくから。」

「いくらですか?」

「確か、3万円くらいだったかな。」

「たったの3万ですか。はぁっー。」
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