私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
私は原田君の席に行って、担当の営業の名前を見た。

住前 誠也。どこかで聞いたような名前。

「ちなみに、俺の同期です。」

原田君が、思い出している私にヒントをくれた。

「もしかして、新人賞取った人?」

「はい。」

「あいつか!」

毎年営業部で開催される新入社員を対象とした新人賞。

新人の中で営業トップを取った奴。

もちろん、新入社員だからコネもない。

実力だけで試される新人賞。それに選ばれたと言えば、そろそろ昇進を狙っているはず。

「どうしようかな。」

私は悩みに悩みまくった。

おそらく、住前君は今。昇進の為に営業成績を稼いでいるのだろう。

どんな小さな額でも、契約を持ってきたい。

それを邪魔はしたくない。

でも、それでこれからも通用すると思ったら、そうではない。
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