私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
今回は結城に負けた。

営業部を出る際、後ろを向くと住前君が送ってくれた。

「先ほどはすみませんでした。」

住前君は、結城に謝った。

「さすがは課長です。ただの御曹司ではなかったです。」

「はははっ!」

結城は余裕で笑った。

「君こそ今度の営業成績次第で、課長になるんだろう。頑張って決めろよ。」

「はい。頑張ります。」

結城、そんな情報も手に入れてるんだ。

私は「ありがとうございます。」と言って、背中を向けた。

「浅見課長も、ありがとうございます。」

「ああ、私はただ……」

そうただ来ただけで、私は必要なかった。

そんな私を見て、住前君はニコッと微笑んだ。

「浅見課長も、ただの課長じゃないんですね。」

「えっ?」

「正直、お飾りだと思ってました。」

「はあ?」
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