私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
「ねえ、原田君。なるべく予算はオーバーしないように、企画してくれる?」

「えっ?相手の予算内に収めろって事ですか?」

「予算内じゃなくても、なるべく近い金額で組み立ててみて。」

「……はい。」

もっと、相手の要望に応えよう。

企画部だって、優秀だって、営業部に知らしめてやりたい。


そして思った。

私はやっぱり仕事が好きだ。

結婚したいけれど、仕事も同じくらい好きだ。


数日後、廊下で住前君に会った。

「お疲れ様です。」

一応社交辞令で、挨拶だけした。

すると住前君は、私の前で立ち止まった。

「浅見課長、俺。お陰様で課長になれました。」

「そう。おめでとうございます。」

そうか。あの案件、契約になったって知らせがあったもんな。

「あの話、覚えていますか?」

「あの……話?」

「昇進したら、奢って貰えますかって言う……話。」
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