私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
うひゃー!

まさか原田君を行かせるわけには行かないでしょ。

「……私が行きます!現場、教えて下さい!」

もう頭下げっぱなしだ。

「いやいや、現場遠いし……」

「タクシーで行きます!」

ああ!経費で落とせるかな。運賃、どのくらいかかるんだろう。

「担当の方には、今から行くとお伝えを……」

「とにかく、浅見課長。落ち着いて。」

「いえ!よく見ないで承認ボタンを押した私のミスです!」

なんでもっとよく見なかったんだろう。

一件一件が、先方の取引先にとっては、大事な案件なのに。

「私が直に謝って来ます!」

そう叫んで頭を上げた時だ。

私の肩を包み込む腕があった。

「落ち着きましょう。浅見課長。」

「住前君……」

そこに私を見つめる瞳があった。
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