私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
思わずドキっとする。

「部長、俺が行きます。」

「いや、住前君。君、まだ課長になったばかりだし。」

営業部長が、焦っている。

だよね。数日前に課長になったばかりの住前君を、責任者として行かせる訳にはいかない!

「でしたら、」

その瞬間、私の横を通る姿があった。

「案件をコピーして俺に下さい。あと、場所も。」

私の目の前に、結城の背中がある。

「部長。俺が住前課長と一緒に行きますよ。」

「本当ですか?御曹司。」

御曹司だと知っている営業部長は、役職が上だって言うのに、結城にペコペコしている。

その間に、女子社員が場所と案件を、結城に渡した。

「ああ、この会社なら何度も行った事がある。先方の担当者とも知り合いだ。」

「結城……」

何で営業でもない結城が、先方の担当者と知り合いなのよ。
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