私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
3時間後。もう定時も過ぎても、二人は戻って来ない。

私は二人が気になって、帰る事ができない。

「原田君、もう帰ってもいいわよ。」

「でも……」

「残ってても、何もできるわけじゃないでしょ。」

そう言うと原田君は、しゅんとしながら帰って行った。


そうなのよね。こうして残っていても、何もできる訳じゃないんだけど。

私は、時計を見た。

結城、大丈夫かな。

― 先方とは知り合いだ -

あれ、嘘だよね。いくら御曹司だって、小さな会社の担当者と知り合いなんて、あり得るわけがない。

私を安心させる為に、あんな嘘ついて。


そして私はいつの間にか待ち疲れて、ウトウトと寝てしまった。

「んんっ……」

気づいて目を覚ますと目の前に、結城が座っていた。
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