私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
その時、結城のスマホがピロリーンと鳴った。

「随分陽気な着信ね。」

「ああ、婚約者だ。」

その時、オフィスがざわついた。

「御曹司に婚約者⁉遂に結婚か⁉」

「誰だ⁉相手は⁉」

未来の社長夫人に皆、騒然としている。

「ああ、今日は忙しい。また後日。」

そう言って会話30秒の電話は終わった。

「いいの?そんな雑に扱って。」

私は、相手の婚約者が気の毒に思えた。

「相手は社長令嬢だ。仕事が忙しい事くらい分かっている。」

何その、遠回しな婚約者自慢。

「で?その物分かりのいい婚約者は、一体いくつなの?」

「ん?新卒だから、22歳か。」

私はにっこりと、彼を見た。

うん。彼だったら38歳のアラフォーのオジサンでも、若い女の子は結婚したいだろう。

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