私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
「実力が伴わないなら、社長になっても仕方ないだろ。」

「あくまで、実力で社長になりたいんですね。」

結城は何も言わずに、にっこりと笑った。


どうしよう。私は近くの壁を凝視した。

住前君の温もりが気になって、結城の話にノッてあげられない。

こんな大切な話してるのに!

その後も、結城の話は頭に入って来なかった。

だってずっと、手離してくれないんだもん。住前君。


「ああ、そろそろ時間ですね。」

乾杯から2時間が経ち、皆ほろ酔い気分。

「改めて課長昇進、おめでとう。」

「ありがとうございます!がんばります!」

男同士って、何かいいな。

私はほろ酔いに負けて、愚痴りたくなった。

「男はいいよね。仕事に生きるって感じで。」

「浅見も仕事に生きてるじゃないか。結婚諦めて。」
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