私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
結城と顔を合わせて、口を尖らせる。

「結城の奢りなんて、食べた気しない。」

「わー。そんな女。初めて見た。」

結城はジャケットを着ると、立ち上がった。

「結局、誰をパートナーに選ぶかだって。」

その時の結城の顔、余裕あり過ぎてムカついた。


「俺達も行きましょう。」

住前君は立ち上がって、私に手を差し伸べた。

やっと手が離れたと思ったのに。また手を繋ぐのか。

それも今度は公然と。

でも、私だって女だ。その手を取りたい。

「ありがとう。」

私は住前君の手を握って、立ち上がった。

その後も住前君は、私の靴を用意してくれたりして、何だかお姫様気分だった。

女、38歳。貴重な体験だ。

「では、結城課長。今日はご馳走様でした。」
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