私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
お店の前で住前君がペコっと、お辞儀する。

「結城、ありがとう。ご馳走様!」

私は結城に敬礼をした。

「ったく。おまえは呑気な奴だよ。」

はははっと笑いながら、私は結城と別れた。


「じゃあね、住前君。気を付けて。」

住前君にも挨拶して、私は一人歩き始めた。

数秒後、住前君は私に付いてきた。

「住前君、帰りこっち?」

「いえ。逆です。」

ん?と私は、歩幅がゆっくりになる。

「恭香さん。」

急に名前呼びされて、ドキッとした。

「もし、結婚相手探してるなら……」

「う、うん。」

結婚相手。絶賛募集中。

「俺を、選んでくれませんか?」

「えっ?」

住前君と、視線が合った。

「俺、家事もします。子育てもしますから。」

「えっ、あの……」
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