私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
「はーい。」

住前君は返事をして、手を挙げた。

「じゃあ、恭香さん。今日は帰りましょ。」

住前君が私の肩を抱く。

「いやだから、こいつは俺が引き取るから。」

結城が私の肩から、住前君の腕を外した。

「ふーん。」

何かを悟ったかのように、住前君は私に手を合わせた。

「浅見課長。さっきの話は一旦、なかった事に。」

「えっ!」

私は息が止まった。

「では、お疲れ様です。」

住前君はお辞儀をすると、一人足を弾ませながら帰って行った。


「このっ、バカっ!」

そして私は結城に、頭ごなしに怒鳴られた。

「飲んだ帰りに部下とホテルに行く上司が、どこにいるんだよ!」

「部下って言うか……同じ課長職だけど。」

「この前なったばかりだろ!」
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