私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
この人とこれからの人生、生きていくんだって。

私を選んでくれたんだって、思いたかった!

「ううっ……」

年甲斐もなく、涙がボロボロ零れてきた。

「泣くなよ。」

「だって……人生初めてのプロポーズだったのに……っ……なかった事にしてって……」

なかった事って!何なの⁉

その場のノリだったって事⁉


すると結城が私を片手で抱きしめた。

「俺なら、そんな事しない。」

その時、ふわっといい香りが漂った。

あの原田君のように、安いボディミストじゃなくて。

高級な大人の香り。

「これだって思った女のプロポーズを、こんな場所でしない。」

「結城……」

「ホテルの一番高い部屋取って、一晩中抱く。」

私の事じゃないのに。私に言っているみたいで、心が落ち着いてくる。
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