私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
「しっかりしろよ。おまえは、こんな安い女じゃないだろ。」

「うわーっ!」

私は結城の胸を借りて、思い切り泣いた。


いい女じゃなくていい。

価値のある女じゃなくてもいい。

誰でもいい。

だから、私を必要としてくれる人が欲しい。

お願いだから。私だって、愛されたい。一人の女として。


帰りは結城がタクシーで送ってくれた。

「ねえ、あんたさ。何で私の事そんなに買ってくれるの?」

「うーん。」

「同期だから?」

タクシーの窓に、結城が映る。

「……それだけじゃねえよ。」

だったら、何ですか?

私の事、女として見てるんですか?


しばらくして、結城の小指が私の小指に触れた。

「ごめ……」

離そうとしたら、結城の指が追いかけてくる。

そのたった数mmの密着が、一番安心した。
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