私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
「とにかく、お互いに上手くいくといいわね。」

「ああ……」

その時に、結城がこの婚約者との結婚、乗り気じゃないのが分かったけれど、それは私の知った事ではない。

何故なら、私は私でこのイケオジとの結婚に、突き進もうと思っているからだ。


定時になり、私はバッグを持った。

「お疲れ様です。」

私は上機嫌の中、オフィスを出ようとした。

「なあ、浅見。」

「なあに?結城。」

私は余裕をかましながら、振り返った。

「今度っ……」

「うん。」

結城の必死な視線。何、行くなとか言い出すの?いや、止められても行くけど。

「……なんでもない。」

「なにそれ。」

私は笑いながら、結城から離れて行った。


イケオジの池崎さんとの待ち合わせは、時計台の下だった。
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