私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
何だか、待ち合わせからしてオシャレ。

そして、池崎さんは私が来る前に、既に待ち合わせ場所にいた。

「すみません、池崎さん。お待たせしてしまって。」

傍に寄ると、池崎さんはにっこりと笑った。

「いえ、大丈夫ですよ。お気になさらないで下さい。」

相変わらずの紳士振り。

ああ、大人の対応にため息が出る。

「お店はこの近くです。行きましょう。」

池崎さんは、腕を差し出した。

私はその腕を掴み、池崎さんと歩き出した。

歩幅、私に合わせてくれている。

こういう人って、いつもこうなのかしら。

お店に着くと、高級感漂う雰囲気に圧倒された。

「素敵なお店ですね。」

「ええ。やはり来てよかったですね。」

池崎さんは、話す時に視線を合わせてくれる。
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