私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
それが大切にされている感じがする。

そして、お店の奥の席に案内され、私達は向かい合わせで座った。

「今日は、来て頂いてありがとうございます。」

「いえ、そんな。」

注文の前に、デートに来た事を感謝してくれるなんて。

「そのシャツ、素敵な色ですね。」

「気づいてくれたんですか?」

「とても良くお似合いですよ。」

池崎さんの周りが、パーっと明るくなる。

これよ。この気遣いよ。若い人や同年代にないこの気遣い。

さすがだわ。だからイケオジなのね。

「オーダーはどうしようかな。恭香さん、お酒飲まれますか。」

「はい、たしなむ程度なら。」

本当はいける口だけど、最初のデートでそんなところ見せない。

「では、私がチョイスした物を。」

そう言うと池崎さんは、定員さんを呼んで注文しはじめた。

前菜に一品料理、メインもデザートも、全て完璧。
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