私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
女性の好みを優先してくれている。

「池崎さんはどうして、そんなに女性の扱いに慣れてるんですか?」

思わず聞いてしまった。

「ははは。慣れてるんですかね。これでも若い頃は、ワンマンだったんですよ。」

「へえ。」

「今の方には古臭いかもしれませんが、俺に付いて来い的な感じの事を言っていました。」

それはそれで、池崎さんなら素敵だと思うけど。年代的にそうだし。

「でも気づいたんです。それでは人は付いて来ない。大切なのは相手を思いやる気持ちなのだと。」

「素敵な考えです。」

そしてお酒が運ばれてきた。

「ワインでよかったですか?」

「はい。大丈夫です。」

むしろカクテルやビールよりワインの方がいいわ。

店員さんに注がれたワインは、ルビー色に光る。
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