私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
「見せておけ。」

結城の後ろ姿が、大きく見える。

ねえ、結城。どこまで私はあなたの世話になっていいの。

その時、足元から崩れ落ちた。

「ごめん、結城。ちょっと休ませて。」

もう立てない。力が入らない。

「浅見、俺の首元にぶら下がって。」

「えっ?」

「いいから早く。」

言われた通りにすると、結城は私を抱きかかえてくれた。

周りからうひゃーと言う声が上がる。

「大丈夫だ。俺が傍にいるから。」

私は結城にぎゅっとしがみついた。

こんなの間違っていると思う。

でも、今は結城の優しさに甘えたくて。仕方がない。


駐車場に着き、私は結城の車の助手席に乗せられた。

黒いシート、シックで高級感のある車。

何故だか結城に似合うと思った。

甲斐甲斐しくも、シートまで倒してもらった。
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