私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
「私、これ観たいな。」

それは、ちょっと昔の映画で。リバイバルで上映しているものだった。

同じく恋愛や仕事に悩んでいる主人公。

泣き笑いながら、本当の恋を見つけていく。

「いいね。じゃあ、行こうか。」

「先に行ってて。私、着替えて行くから。」

「ああ。」

結城が上着とカバンを持って、リビングから姿を消すと、私はスカートに履き替えて、ほんのり化粧をした。

結城相手に、スカートだなんて。

少し前の私なら、絶対考えない事だ。

バッグを持って家を出ると、鍵をかけ結城の車に向かった。

駐車場に行くと、結城は車の外で待っててくれた。

「結城。」

振り返った結城は、私の姿を見て表情を変えた。

「なに?」

「……いや、そのスカート。かわいいなと思って。」

「似合わない?」
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