私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
ジーンズにグレーのTシャツ。シンプルな服装なのに、オシャレに見えるのは、結城の体のラインをキレイに見せてるから?

Tシャツの上からでも分かる、細身の締まった体。長い手足。高価な時計にスニーカー。

どれもが結城のカッコよさを、際立たせる物だった。

「どうした?」

「あっ、ううん。何だか、カッコよくて見とれちゃって……」

そう言うと結城は、髪をかき上げてハンドルに両手を乗せた。

「その言葉、ズルい。」

私は思わず結城から目を反らした。

結城が照れてる。あの結城が!

「行くよ。」

車が発進して、私達は映画館に向かった。

何も話さない。でも、居心地のいい空間。

隣に結城がいる。

それだけなのに、私は幸せを感じていた。
< 86 / 160 >

この作品をシェア

pagetop