私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
まったくもって不思議だ。

しばらくして、結城が帰って来た。

「ごめん、恭香。」

私に手を挙げる勇気を見て、さっきの女の子達ががっかりしてる。

「なんだ、彼女と来てるの?」

「相手の女、ちょっとオバサンじゃない?」

おいおい、聞こえてますよ。悪かったわね、オバサンで。

その時、結城が私の肩を抱き寄せた。

「言わせておけ。」

「結城……」

「俺の恭香は、いい女だよ。」

結城を見ると、微笑んでいる。結城にも聞こえていたんだ。

聞こえていて、無視してた?

そんなにも、私に夢中なの?

それからずっと、結城の肩の中で映画を見ていた。


やっぱり仕事や恋愛に悩む主人公を見ていると、ものすごく共感するのは、私もそうだから?

それとも、今にも始まりそうな恋に悩んでいるから?
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