私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
「恋人ごっこじゃない。」

結城は皆がいると言うのに、ぎゅっと抱きしめてくれた。

「俺、結婚はきちんと断るから。」

「……できるの?」

私を真っ直ぐ見つめる瞳。

「俺を信じて。」

そして、おでこにチュッとキスしてくれた。

さっきの女の子達が、キャーッと叫ぶ。

本当に信じていいの?

この恋を、結城の気持ちを、本物だって信じていいの?


「だから、今日は俺に付きあってほしい。」

「えっ?私もお父さんに会うの?」

「ああ。俺の、恋人として会って欲しい。」

恋人として。結城の……相手として。


大丈夫なの?こんな状態で会って、私は結城の結婚を止められるの?

はっきり言って、自信がない。

「まだ、早いと思う。」

「恭香……」

「ごめん。昨日の今日で。まだ気持ちが追い付かなくて。」
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