私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
「……はい。」

「恭香っ!」

結城は私に驚いている。

「さすがは課長職に就いてるだけある。ものわかりのいい人だ。」

私はバッグを持つ手をぎゅっと握った。

「ですが、柊真さんの気持ちも、尊重してあげてください。」

思わず叫んでしまった。

「仕事をする上で、大事なのは安定した家庭です。愛のない家庭なんて、仕事に影響します。お願いです。柊真さんが望む相手と、結婚させてあげてください。」

お父さんは、結城の腕を振り払った。

「なんだ。浅見は、おまえとの結婚を考えてないじゃないか。」

あっ、しまった!つい、口が滑って。

「どうせ、結婚したくないからと、断ってくれと頼んだんだろう。だからまだ課長職なんだ。」

「それとこれは、別だろう。」

「一人の女もモノにできない奴が、昇進できるわけがないと言っているんだ。」
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