私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
胸が締め付けられた。

「結城……」

「心の準備だけ、しておいて。」

そう言って結城は、車を走らせた。


心の準備って、何するの?

どうすればいいの⁉

私は車を運転している結城を見た。

いつもの彼の表情に、これは夢だと考える。


そうだ。これは夢だ。

御曹司の恋人になるという、女子が憧れるシチュエーションが、夢になったパターンだ。


「……見?浅見?」

「えっ?」

「着いたぞ。」

「もうっ⁉」

辺りを見ると、確かに私の家だ。

そして車を降りる結城に、緊張が高まってくる。

車を降りて、一緒に歩く鼓動が、これが現実だと知らしめる。

家の中に入って廊下を歩くと、結城は寝室のドアを開けた。

「まさか、本気じゃないよね。」

「本気じゃなかったら、ここまで来るか?」
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