弟じゃない弟と、秘密の2人暮らしはドキドキに溢れてる。
「…狭くなったね」

「お母さんと2人暮らしだもん、こんなもんだよ」

お父さんと離婚してからすぐにここへ引っ越した。だから真白にとってはここは知らない場所になる。

「あの家は…2人で住むには広過ぎるもん」

もっと広いリビングにソファー、部屋だっていくつもあって、毎日賑やかな声に溢れてた。

それも思い出すと懐かしくって、少し…

「あ、これいつの写真!?」

リュックも下ろさずに散らばった写真の前にしゃがみ込んだ真白がサッと1枚手に取った。

あ、しまった!片付けるの忘れてた!!
写真どころか大事な手紙とかDMも散らかしたまんまだ!

「父さんも写ってるじゃん、懐かしい~!いつのだろ、離婚するちょっと前かな」

真白が写真を見てる間に他のものを片付けようと散らばったものたちをかき集める。

せっかくちゃんと掃除していってくれたのにすぐに散らかしちゃった、お母さんいたら絶対怒られてたやつだ…

「…。」

「ねぇ瑠璃ねーちゃん!」

「えっ!?」

「…何びっくりしてんの?」

「いや、…いや何でもないよ!懐かしいよねそれね、お父さんも一緒なのね!」


咄嗟に1枚の手紙に手を伸ばした。

隠すように上から手で押さえて、だから真白には気付かれなかったと思う。


これがお父さんからうちに送られて来た手紙だってことは。


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