弟じゃない弟と、秘密の2人暮らしはドキドキに溢れてる。
“わかるでしょ、そんなこと”

お母さんの言葉がぐるぐる頭の中で回る、声が表情が全部が焼き付いて離れない。

一切緩んだ表情のない真っ黒な瞳で。

「なんであんなこと言ったのお母さん…」

やばい、泣きそうになる。

じわーって目の中の水分が増して視界が濁った。

「…っ」

お風呂も入って髪の毛のケアも終わった、あとは寝るだけで自分の部屋に来たけどそんな気分にもならない。  

ベッドに顔を伏せるように飛び込んだ。


意味わかんない!

意味わかんない!

お母さんひどくない…!?

だってお父さんが言ったんだよ?


お父さんからのお願いってことは遺言なんじゃないの!?

それを破るって何!?


ありえないよ…!


ぎゅーっと握っていた枕の力を緩めて、伏せていた顔を横に反らして、水分をいっぱい目に溜めて。

「……。」


真白がいたらダメなの?

お母さんは真白にいてほしくないの?


やっと帰って来たんだよ、ずっとずっとどうしてるのかなってもう会えないんだって諦めてたのに…


お母さんは真白のこと何も思ってなかったの?


お母さんは真白のこと、家族だって思ってなかったの…?


「え、待ってお母さん実は気付いて…!?」

私と真白のこと、それで…っ!?

ハッとして顔を上げた。


お母さん案外勘がいい…!?


―ブーンブーン…

「…はい」
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