弟じゃない弟と、秘密の2人暮らしはドキドキに溢れてる。

Life4.)

「2人ともお弁当作ったから、忘れないでね」

朝、家を出る前にお母さんが渡してくれたお手製のお弁当。

昨日はあんな感じだったのに、ちゃんと私と真白の分を作ってくれて微笑みながら渡してくれた。

それがなんともこしょばい、私あんなに怒鳴っちゃったのに。

「いってらっしゃい、勉強がんばって!」

お母さん見送られ真白と一緒に家を出た。

お母さんはいつもと変わらなかったな、別に怒ってたとかそんなわけじゃないからそれでいいのかもしれないけど…


どうしても私の中ではモヤモヤしちゃって。


「お弁当何だろうね、楽しみだね」

ついでに真白もめっちゃ普通なんだもん。

なんで当の本人が何も感じてなさそうなの、ほんとお気楽なんだから!

鼻歌でも歌いそうなぐらいご機嫌でエレベーターに乗り込んでマンションから出た。

真白の隣を歩いて、少しずつ秋めいていく9月の終わりまだ気温は高いけど夏はもう終わり…

「何?どったの??」

はぁってタメ息をついた私を真白が顔を傾けて覗き込んだ。

ついアンニュイな気持ちになっちゃったから、昨日の今日だしちょっと秋感じるし秋って意味なくアンニュイな気持ちになるじゃん。
 
「…なんでもないよ」

「今日歩くの遅くない?」

「だって…っ」

頭の中ではまだぐるぐる回ってるから、私がどうにかしなきゃって思ってるけどどうやってどうにかできるかはまだわかんなくて。

「ん?」

じーっと真白の顔を見ちゃった。

「…今日は手繋がないの?」

「瑠璃ねーちゃんいつもダメだって言うじゃん」

「…そうだけど」

真白は外にいる時は必ず瑠璃ねーちゃんって呼ぶ、あとお母さんといる時と弟を意識した時もそうやって呼ぶ。

ちゃんと使い分けてるんだなぁって思う。


私が思ってるより大人だよね、真白は。
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